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日本代表選出の視点:一貫性に拘泥するか、監督としての直感を信じるか

3月のUAE,タイ戦に向けた日本代表メンバーの発表がありましたね。

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本田や今野の選出など物議をかもしていますが、監督というのは難しい判断を迫られるものだなと感じました。

 

一貫性をとるか、自分の直感を信じるか

 

かねてから代表候補の選手たちに対して、「試合に出ていなければ外す」と言っていたハリルですが、本田、長友、清武を選出していることで、「矛盾している」「一貫性がない」「ホンダをはずす勇気がないだけ」

 

などと、散々ないわれようですね。

 

この点に関して、試合勘のある選手、パフォーマンスの良い選手を選出するという基準のみで物事を考えたら、本田、長友らの選出は考えられないですね。

ただ、監督の選出基準として、試合勘や良いパフォーマンスという判断指標のみで選出しているかというと、これまでも、今回も、そして、これからもそうではないでしょう。

 

報道に出ているだけでも、「経験値」、「アジアにおける戦いを知っている」「中東の経験値」などが今回の選出にあたって重要な指標だったとされています。

 

これら以外にも

  1. 相手チームの予測を混乱させること
  2. チーム内の雰囲気、規律に対する影響力
  3. 先発グループ、途中交代グループ、ボーダーライングループのバランス
  4. 自分の意図を理解しチームに伝達できる者

これらが判断にあたって考慮されていたことは想像だに難くないでしょう。

 

過去の事例 

相手チームとの情報戦については、例えばオシムジャパンで足を骨折していた都並敏史が「お前はノーマルだ」と言われて練習させられていたように、この選手が出ると思わせるということは、普通に行われていることです。

 

本田がチームに選出されたというだけで、相手チームのスカウティングとコーチ陣の仕事量や、選手の想定に与える影響は大きいでしょう。

 

ちょっと競技規則を絡めますが、本田を先発に入れておいて、試合前の練習で練習させておいて、けがという事にして交代要員から先発を入れ替えるということも、ルール上可能です。

その場合、交代枠は減りませんが、交代要員の数には補充が効きませんから、もしそのようなことをわざとするのならチーム内の選手から信用を無くすことは確実ですね。

 

そして、大抵そういう小細工をしていると負けるような気がします。

 

自分の意図を伝える者

これは、外国人監督ならではの悩みとして常について回るのではないでしょうか。

単に言葉がわかるということや、チームに長く居る者、自己主張をしてよく監督と会話をする者ということが、自分の意図を伝える者として重宝されることもあるのだと思います。

 

ただ私は、本田についてはこれらとは異なる次元で「替えの効かない人物」とされているのではないかと思っています。

 

本田は自己でサッカーチームを所有するオーナーであり、会社の経営者でもあります。このような人物が持つ世界観などは、一般の選手とは異なり、指揮官の考えに近いものがある。

 

そう理解されているような気がします。

 

今野と倉田の選出は面白い 

ハリルが私たち一般人の理解を簡単に飛び越える発想の持ち主であるということは、この2人の選出で明らかなのではないでしょうか(笑)

 

今野は「なぜ自分が選ばれたのか。何ができるんですか?」というネガティブっぷり

これは今野らしい反応ですね(笑)

 

一方の倉田の選出理由は、純粋に競技者目線で興味深いです

「中盤の深い位置からドリブルでボールを運べる選手」という趣旨の発言があったということで、これまでボランチに求められてきた役割とは異なった視点から評価を加えており、面白いです。

 

勝てばよかろうなのだ

散々批判されているハリルですが、一般人とは生きてきた世界が違うので、考え方が理解できないと思われても仕方ないと思います。

 

そういう外野からの評価を全く気にも留めないということで、むしろ私は、ハリルの監督としての資質と言うか、格というか、そういうものに確信が持てるようになりました。

 

あとは勝って勝利の美酒を飲みたいですね。