審判の打合わせといっても具体的に何を、誰に、どういう順序で話せばいいのか。
審判団の打ち合わせ:競技を円滑適正に進行するために
打ち合わせと言っても、何を話せばよいかわからない
主審をされる方で、このような不安を持ってらっしゃる方がいるのではないかと思います。
打ち合わせの方法にマニュアルなんてありませんから、どう話を組み立てていけばいいか、最初のうちはわからないかもしれません。
今日は、そんな方向けに、私の整理のためということも含めて、審判団の打ち合わせについて書いていこうと思います。
大学サッカーリーグ等で1級審判員の方の振る舞いを見たり、少年やシニアにおける独特の環境の中で打ちあわせをしてきた経験から、ある程度整理できるものがあります。
打ち合わせとは、競技規則とその試合で行われるべき運用との空白を埋める大切な作業であり、ある程度の経験と予測、気づきが必要になってくるものです。
が、ここでは難しいことではなく、 一般的なことについて書いていこうと思います。
なお、グラウンドの確認などは本日は扱いません。
誰にどういう順番で話をしていくか
最初は第四の審判員に対して
なぜか知りませんが、主審から4th(フォース=第四の審判員)に対して指示をすることが最初に行われているのが主流と感じています。
それなりの分量になりそうですので、本日は第四の審判員についてのみ書きます。
伝えるべきことは、第四の審判員の職責に沿って簡潔に行えばよいでしょう。
※競技規則の表現とは異なるものもありますがご了承ください
- 交代の手続と用具の点検
- 競技者の再入場
- ボール交換
- アディショナルタイム
- ベンチコントロール
- 負傷者発生時の対応
大まかにいうとこれが第四の審判員の職責とされる主審の援助です。
具体的な内容
1:交代の手続と用具の点検
・交代時には声を出して「レフェリー!」と呼ぶこと
・コーナーキックのときに交代するかどうかを予め聞いておくこと
・交代ボードが表しか使えなかったら、ピッチ内にいるOUTする選手の背番号を表示すること
・交代ルールについて大会のカテゴリやローカルルールの確認
・身に着ける物についてその大会独自のローカルルールがある場合にはその確認
最後の点については経験がないとあまり想像できないと思います。
例えば、冬場でタイツを着用したい選手が多いと予想される場合に、グラスルーツのレベルでわざわざユニフォームの主たる色と同じでなければならないとするのは酷な場合があります。
ほとんどの方は黒のタイツを持っているのではないでしょうか?
そういう状況で、大会運営の側が、「色が違っても特別にオッケーよ」としている場合があります。
なので、そういう部分について伝えること、打ち合わせの時点で不明であれば後で確認することが必要です。
2:競技者の再入場
・負傷、用具の乱れ等で一度ピッチ外に出す場合は、主審がなるべくベンチ側に出るよう選手に促すこと
・副審に対する支持と重複するが、なるべくタッチラインから再入場させること
・出血がとまったかどうかの判断の一任。鼻血の場合、詰め物は不可であること。
・その他、想定される状況について
最後のその他想定される状況については、これだけで1コラム書けてしまうので、2番目のタッチラインから入場させることについて言及します。
これは、守備側の選手の場合にオフサイドラインが急激に変わることを防ぐためです。
競技規則に特に定めはありませんが(確認します)判定困難な状況を避けることになり、競技者の利益にもなるため、このように運用している場合がほとんどです。
ただ、攻撃側の選手であったり、守備側の選手であっても試合の展開に影響しないような場合には、主審の判断でゴールライン側から再入場させることもあり得るということです。
3:ボール交換
・主審の合図でボールを出すこと
当たり前といえば当たり前なのですが、少年のカテゴリなどで併設されているグラウンドがあり、2試合同時進行の場合になると結構重要です。
隣のグラウンドにボールが入った場合、もうボール出してもいいよな、と思ってボールを入れた瞬間に隣のグラウンドのGKが戻してくれて、結局不要になったりというのは良く起こります。(主審の合図があってもそうなることはありますが)
4:アディショナルタイム
・時間表示方法:腕で空中に数字を書くのか、指で分数を示すのか
・どのタイミングで第四の審判員に伝えるのか
試合終了の2分前に第四の審判員が椅子から立って「もう時間が来てますよ」と暗に合図するのが相場だと思います。
このとき、第四の審判員としては、①交代の数、②ファウルで試合が止まった時間、等を考慮して、予めボードに予想されるアディショナルタイムの数字を準備しておくといいでしょう。
主審と数値が一致した場合にスムーズにやりとりが完結します。
主審から示された数値と異なった場合は、その場で数字を合わせて、主審と確認をします。
なお、給水タイムについては本日は扱いません。
5:ベンチコントロール
・テクニカルエリアの有無、範囲
・暴言等の場合、選手は必ず背番号を把握すること、役員は特徴を伝えること
・暴言や異議などは具体的に。主審を呼ぶような場合とはどの程度の場合か。
注意を挟むか、一発で処分に値するかの判断
・その他の事前情報
グラスルーツレベルの場合、テクニカルエリアの設置が難しい場合があります。
(強風等でマーカーが置けない、そもそもベンチからピッチの距離があまりない等)
事前情報とは、選手役員の人物評価や、これまでの経緯等のことです。
偏見を持つということに繋がってはいけませんが、事前情報があれば行動を予測するために共有するという心持ちで行うといいでしょう。
第四の審判員としては、独自に主審を呼ぶべきかを判断します。
その上で、具体的内容を主審が把握してどうするかを決めます。
ただ、第四の審判員の経験から察して、独自に判断することが難しい場合があります。
経験の浅い高校生等の場合、一定の基準を具体的に指示してあげることが必要だと思います。
6:負傷者発生時の対応
・レフェリーの合図:ドクターを呼ぶ場合と担架を入れる場合
・レフェリーの合図までチーム役員等をピッチに入れないこと
監督さんが勝手にピッチに入らないように見てあげましょう。
担架が用意されていて、そのための人員も確保されているのであれば、怪我の様子を見て出動の準備をさせるのもありだと思います。
結語:良い審判は良い打ち合わせから
ここで挙げた項目を全て打ち合わせする機会というのはほとんどないかもしれません。
一緒に組む審判の方のレベルから、行う必要のない打ち合わせも、ここでは書いています。
レフェリーの置かれる状況は様々です。円滑な試合の進行のためには、万全の準備ができることにこしたことは有りません。
「良い審判は良い打ち合わせから」
本稿をご覧になった方の整理に一役買うことができれば幸いです。
それでは、お疲れさまでした!