副審との打合わせ詳細編その3:ファウルサポートとペナルティーキック
副審との打ち合わせの概要
- 得点時の運用
- オフサイド
- ファウルサポートとペナルティーキック
- スローイン
- 交代や競技者の再入場、負傷・用具の乱れ時の対応
- A1に対してベンチコントロールについて(4thとともに)
- ペナルティーマークからのキック(3に含めることも)
今日は、3番目のファウルサポーについて検討していきます。
- ファウルサポートとは
- 副審にどこまで見てもらうのか
- ぺナルティーエリア内のファウル
- PA内かどうかがきわどいときの特則
- ペナルティキックの位置取りと監視対象
- シークレットサイン
- 副審のアドバンージ?
- 結語:改正が多いのでしっかりと確認しましょう。
ファウルサポートとは
副審がファウルを主審に知らせることをファウルサポートと呼びます。
基本的には主審が判断するのですから、このときの役割分担が大切です。副審は、原則として主審の判断と齟齬が生じない限度でのサポートが求められ、お互いの判断が抵触しないように打ち合わせでしっかりと職責を確認する必要があります。
ファウルサポートについては、競技規則の中の「審判員のための実践的ガイドライン」に詳細に記述されています。ここでの記述はこれまでより一歩進んだ内容が書かれており、一読するべきです。
ここでは、一般的な打ち合わせ事項や注意点を述べるにとどめます
副審にどこまで見てもらうのか
副審の領分が発揮されるべき基本エリア
一概には言えませんが、大体このような感覚があります。
図に示した範囲と図中の説明は、 あくまで「目安」に過ぎないのでご了承ください。
どういうファウルを中心に見てもらうか
全てのファウルがサポート対象ですが、効率的なサポートをしていただくため
手のファウルを中心に見てください
と伝える、伝えられることが多いです。
というのは、主審の位置からは見えないファウルになる可能性が非常に高い類型のファウルが、手を使ったファウルだからです。
特に、このような位置取りの場合、守備側、攻撃側、どちらの手も主審からは見えないところでプレーに影響することが良くあります。この場合には副審が自信を持って旗で知らせるということをお願いしましょう。
また、最初の図ではあまり干渉しないように、と示した位置ですが、このような場合にも副審が旗で知らせるということは、私もお願いしています。
これ、ホンとに見えにくいんですよね。
ぺナルティーエリア内のファウル
攻撃側のファウルの場合
攻撃側のファウルの場合は、副審に通常の通りサポートしていただくようお願いしています。
なぜなら、この場合にファウルを採用しても、通常のフリーキックで再開するだけであり、試合に決定的な影響を与えないからです。
守備側のファウルの場合
これは、建前上は副審もサポートします。
ガイドラインもその前提で書かれています。
しかしこの場合、よほどのことが無い限り、実際上は主審が判断します(そのように打ち合わせをします)。
守備側のファウルということは、直接フリーキックで再開するファウルの場合にはペナルティキックが行われるわけですから、これは試合の結果を左右する重大な事態です。その判断は重大です。
主審と副審のファウルの基準が異なるということは、あってはならないという競技規則とガイドラインの立てつけですが、トップレベルであればともかく、グラスルーツのレベルでは、判断にバラつきが相当出てきます。
そんな主審と副審同士がお互いのファウルの基準に齟齬がある状態で、どうやって責任ある判断を下せるでしょうか?
よって、私が裁いているレベルでは、PA内のファウルは原則として主審が判定するというようにしています。
(私より上級の方でもこのようにしている方は多いです)
よって、副審は、ちょっと足がひっかかったり引っ張ったのが見えたとしても、旗を上げないです。もちろんこれは建前上よくありませんが…
なお、よほどの事とは、大体以下の通りです
- 明らかにレッドカードに値する行為が公然と行われている場合
- 主審が見えていないということが客観的に明らかな状況である場合
なお、ここで言及しているのは、プレーがPA内で行われていることが明らかな場合です。PA内なのか、外なのかがきわどいときは、その点について副審サポートする場合もあり得ます。
PA内かどうかがきわどいときの特則
これは、例えばカウンターのような場面で、主審がボールに追いつかない状況です。
この図の主審の位置はさすがにひどいですが(笑)
このような場合、主審の位置からはファウルが起こったことが分かったとしても、それがPA内で行われたかどうかがわかりません。
よって、PA内でのファウルの場合、副審がPA内でのファウルであることを示す必要があります。
方法は、主審が笛を吹いたらすぐさまペナルティキックの監視の位置に進むことです
また、PA外のファウルの場合にはガイドラインに記載があり
副審は、反則がペナルティーエリアの外であったことを、タッチラインに沿ってハーフウェーラインにむかって明らかに動くことで示す。
という記述があります。
ペナルティキックの位置取りと監視対象
副審は、PAとゴールラインの交点に位置します。
ペナルティーキックの場合の運用については、また別日記で言及します。
シークレットサイン
ファウルが懲戒罰に相当する場合、どのように主審に伝えるか
人それぞれだと思いますが、多いのは以下です
- 自分が身に着けているレフェリーワッペンを掌で押さえる
- 自分が身に着けているフェアプレーワッペンを掌で押さえる
退場の場合は、シークレットでやり通すのではなく、直接会話してからカードを出すことにしています。
副審のアドバンージ?
ガイドラインには、以下のような記述があります
副審は、-中略-反則を犯されたチームがアドバンテージにより利益を得た場合、旗を上げてはならない。この場合、副審が主審を目で確認することが大変重要である。
これは主審もファウルを見ているという前提があると思われます。副審にとっても、アドバンテージの状況であるかの判断が必要であるということが示されています。
ただ、これが主審が見ていない場合にも適用されるべきかは書いてません。
書いてませんが、おそらくその場合も同様なのだと思います。
結語:改正が多いのでしっかりと確認しましょう。
12条のファウルと不正行為の項目自体に改正点が多数あります。
適格なファウルサポートをするためにも、しっかりと改正点を把握しましょう。
次回はペナルティーキックについてです。