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フットボールを整える

グラスルーツのレベルからサッカーにかんするあらゆる物事を考えていきます

サッカー競技規則のルール改正その1 主審の権限

昨年度のルール改正で歴史上最も大幅な変更がされたということで、レフェリーの方は頭の切り替えに苦しめられたと思います。

特に、環境が整っているアクティブ審判員以上の方ではなく、私のようなグラスルーツのレベルで審判活動を行っているような場合は

あれ?この場合はどうなるんだっけ?」

という状況がいくらでも発生します。

そこで、ここで自分の整理のために、重要なルール改正の把握と、実際の運用上どのあたりに影響しそうかということについて考えていきたいと思います。

第5条 主審 懲戒処置

「主審は、試合前のフィールド点検のためにフィールドに入ったときから試合(ペナルティーマークからのキックを含む)終了後にフィールドを離れるまで、懲戒処置を行使する権限をもつ。試合開始時にフィールドに入る前に競技者が退場となる犯則を犯した場合、主審はその競技者を試合に参加させないようにする権限を持つ(第3条6項参照)。主審はその他の不正行為を報告する。」

これまでは「フィールドに入ったときから」という文言だけだったので、ボールをもって入場してからしか懲戒処置はできないという含意があったものでした(実際の運用がどうだったかはわかりません)。

「フィールド点検のために」というのは、審判の割り当てを受けていない方はピンと来ないかもしれません。公式試合等で環境が整っていると、大体以下のようなスケジュールで審判は動きます。
※大会によって細部は異なります。

 

試合90分前:会場到着、審判打ち合わせ

試合60分前:マネージャーズミーティング

 (ユニフォーム決め、メンバー表の提出とかをするやつです。)

試合10分前:両チーム集合、用具点検

 

このうち、審判打ち合わせの後にフィールド点検することがほとんどですね。

この時間帯だとまだ両チームがウォーミングアップでグラウンドが使えませんから、選手を懲戒するということは通常は起こりえないのですが、グラスルーツレベルだと様々な状況があり得るので、この時点から気が抜けないかもしれません(もちろんトップレベルでもそうですが)。

試合開始前の懲戒処分の事由って何だろう?

という疑問がありますが、具体的にどのような行為がここでの懲戒処置に該当するのかは競技規則には書いてません。ただ、通常あり得ると考えられるのは暴言、暴力の類です。行われた行為の性質によって、主審が試に参加させないかどうかを判断することになるでしょう。

なお、主審の懲戒処置をする権限とは異なり、カードを示す権限については、これまでと同様、試合開始時にフィールドに入ってからであると規定されました。

ハーフタイムのインターバル、延長戦、ペナルティーマークからのキックが行われている間を含め、試合開始時にフィールドに入ってから試合終了後まで、主審はイエローカードやレッドカードを示す職権を持つ。

よって、試合開始前の場合、カードを示すことはできません。

口頭でプレーすることができないことを命じることになります。

これについては大会運営側に報告することになります。また、試合中であればイエロー相当の行為であった場合には、運営側に報告するにとどめることという運用がなされています。

では、イエロー相当の行為の場合、その行為を行った選手やスタッフにその旨を伝えるべきか?これについては競技規則上不明確ですが、JFAの「質問と回答」を見ると、以下のような記述があります。

試合前に警告をすることができるようになると、試合会開始時に、競技者が既に警告を示されていることを周囲の人々はわからず、混乱を招くおそれがあることから、これらの不正行為については報告にとどめる

http://www.jfa.jp/attachment/5849110b-55cc-4ccc-a73b-5b19d3093d95/QA20160921_r_lawsofthegame201617_Ver4.pdf

したがって、選手等には伝えず、大会運営側が内々に把握するだけにとどまるということになります。イエローが試合開始と同時に適用されることにはならないというわけですね。

起こり得る事態(過度に敏感になってはいけませんが)

・グラウンド使用可能な時間帯じゃないのに使用する

・相手チームのサポーターからの野次に反応して威嚇、挑発を行う

・相手チームの選手と小競り合いをする

・レフェリーに対する陰口(人格否定的暴言)

 

ざっと考えてもこれくらいは思い浮かびます。

レフェリーのウォーミングアップでセンターラインを往復する方もいらっしゃると思いますが、このときに会場や両チームの雰囲気を感じることが大切になってきます。GKのパントキックのボールが相手チームの選手に当たるとか、頭の片隅に入れておいて損はない状況というものがいくらでもあるはずです。

ただし、心がけたいのは、「違反をみつけてやる」という警察的な意識ではなく

その場で起こっていることを端的に把握するという意識でいることです。

いろんなことに気付く能力を涵養するためにも、ウォーミングアップをしながら観察をすると、いろいろ面白いのではないかと思います。ここでキャッチした情報が、試合中の行為や起こり得る事態の予測に繋がるかもしれません。

 

それから、グラスルーツレベルだと、1つの会場で1日に何試合も行うことが良くあると思います。その時に、フィールド点検のタイミングが取れないということもあると思います。

なので、大会運営者や副審とコミュニケーションをとって、「この時点から自分の試合の主審の権限の範囲内だ」、ということをはっきりさせなければいけない場合もあると思います。

まぁ、そこまで厳密に考える必要がある場面はそうそう無いとは思いますし、あまりそうする必要性は無いと思いますが、意識としては、自分の主審としての権限が発動するタイミングはどの時点なのかということを持っておくべきでしょう。

結語 主審はより多くの「気づき」が求められるようになった

FAから割り当てを受けているようなレフェリーの方は、おそらくこれまでも試合開始前からいろんな気づきを得ようとしてきたと思いますので、この改正によって大きく変わるわけではないと思います。

ただ、そうでない方は、これまでなんとなくレフェリーの仕事として把握していた範囲がフィールド点検の時点まで前倒しになったため、意識して観察することが必要なのではないかと思います。

この記事をご覧になった方には、「こんな現象が起きた!」ということがあれば、コメントに書いていただきたいなと思います。そうやってみなさんの知恵を共有できればと思います。