副審との打ち合わせその3-2:ペナルティキック
副審との打ち合わせの順番は、以下のようにするとしていました。
- 得点時の運用
- オフサイド
- ファウルサポートとペナルティーキック
- スローイン
- 交代や競技者の再入場、負傷・用具の乱れ時の対応
- A1に対してベンチコントロールについて(4thとともに)
- ペナルティーマークからのキック(3に含めることも)
このうち、3番目のペナルティーキックと7番目のペナルティーマークからのキックについて今日は説明していきます。
- ペナルティーキックとペナルティーマークからのキック
- ペナルティーキックの監視対象
- 副審との打ち合わせ:副審は何を監視するか
- ペナルティーマークからのキック
- ゴールの選択
- コイントスが不要な場合
- その他
ペナルティーキックとペナルティーマークからのキック
『ペナルティーキック』とは
【競技者がペナルティーエリアの中で、または第12条及び第13条に規定される売れーの一環としてフィールド外に出て、直接フリーキックとなる反則を犯したときに、反則を受けたチームに与えられるものとして、競技規則14条に規定されているもの】
平たく言うと、【前後半(延長戦含む)の試合中に行われるPK】です。
これに対して『ペナルティーマークからのキック』とは
【試合後に試合またはホームアンドアウェーの対戦の勝者を決定する方法であって、試合の一部ではないものとして競技規則10条に規定されているもの】
平たく言うと、【同点の場合に勝者を決めるために行われるPK】です
進行方法は同様ですが、細かい点が異なるため、確認していきましょう。
規定されている条文も異なります。2016-2017の競技規則で10条に組み込まれましたが、従来の競技規則では17条のあとに規定されていました。
ペナルティーキックの監視対象
- ペナルティーエリア等への侵入
- キックが正しく行われたか
- GKの飛び出し
- ゴールの確認
これらを主審と副審で監視します。
副審との打ち合わせ:副審は何を監視するか
ペナルティキックの場合、副審が確認するのはGKの飛び出しとゴールの確認です。
なお、競技規則の書物のどこにも記載はありませんが、ペナルティーキックが行われた後に主審がオフサイドの監視をする可能性もあるのだということも頭に入れておくべきです。
副審の監視位置を見ればわかるように、副審がオフサイドポジションを監視できる位置に行くまでにタイムラグがあります。
そのため、オフサイドを判断するのが主審のみ、という状況がありえます。
GKがはじいたボールを攻撃側が拾い、パスをするときに集中しなければなりません。
ペナルティーマークからのキック
副審の位置がペナルティーキックとは異なることに注意してください。
これについては、単なるリーグ戦では実施されないので、トーナメント形式やホームアンドアウェー方式でペナルティマークからのキックが実施される大会方式の場合のみ、打ち合わせで確認 してください。
さて、人によっては、主審の監視対象は減ったのだから、ペナルティーマークからのキックの場合はGKの飛び出しは主審が見る、ということを云う人もいますが、私は、これは非合理的だと思いますので、副審の監視対象は変わりません。主審の位置からGKの飛び出しが正確に判断できるとは思えません。
ペナルティーマークからのキックが行われる可能性のある試合で、上級審判と打ち合わせした時に、副審の監視対象が通常のペナルティーキックと異なる点について確認を受けたことはありません。
また、この時にその大会におけるユニフォームの運用について確認することもあります。
GKをフィールドプレーヤーが行う場合、その大会ではどのようなユニフォーム規定があるのかを確認します。
ゴールの選択
ペナルティーマークからのキックの場合、ゴールの選択について競技規則の変更がありました。
主審は、その他に考慮すべきこと(例えば、グラウンド状態、安全など)が無い限り、コインをトスしてキックを行うゴールを決定する。ゴールは安全上の理由、あるいは、ゴールまたはフィールドの表面が使用できなくなった場合に限り変えることができる。
これまでは審判団の任意で決定していた(あるいは大会運営)ゴールの選択ですが、コイントスで決めることが原則となりました。
この改正の理由も明確に記載されており
一方にはホームチームのサポーター、他方にはアウェーチームのサポータがいるため、主審にっとって、どちらのゴールを使用するか決定するのは困難である。すべてに優先する事項(警備、フィールド状態など)次第であるが、最も公正な方法はコイントスである。
このように記載があります。
また、次のような記述が追加されました
主審は再度コイントスをし、トスに勝ったチームが先にけるか後にけるかを決める。
したがって
- ゴールを決めるコイントスは、先攻、後攻を決めるコイントスの前に行う
- コイントスは2回行われなければならない
- 先攻後攻を決めるコイントスは、コインの表裏で直接先攻後攻を決定するのではなく、選択権を選手に与えるだけである
これらが導かれます。
これと異なる運用は明白に競技規則に反するため、注意してください。
コイントスが不要な場合
試合開始前に、明らかにペナルティーマークからのキックに不適当なゴールが共通認識としてあるのであれば、コイントスは不要です。
グラスルーツであれば、次のような場合が考えられます。
- ゴールの背後に湖や川があり、「ポチャる」可能性が高い
- ゴールの背後に駐車場等があり、車や人にボールが当たる可能性が高い
- 柵越えの危険が高い
- 片方のゴールのネットが穴だらけ(試合前修復不可能な場合)
この判断は試合前のグラウンドチェックで行うといいでしょう。
必要があれば、マネージャーズミーティングや、朝の大会本部前でのミーティング(少年サッカーなどで良くあります)で予め使用するゴールを伝えるといいでしょう。
その他
試合間隔が詰まっている大会でペナルティーマークからのキックが行われることもあります。
この時に、キックの間隔を短くすることで時間を短縮できるため、センターサークルを監視している副審がキッカーに素早く行動するよう促すことが有効な場合があります。
まぁ、あまり急かすのもどうかと思いますので穏便に…
以上